現在よく見られる三層不織布マスクの基本構造はSMSと呼ばれています。外側と口元カバーのスパンボンド不織布がメルトブローン不織布フィルターを挟むような構造です。カバーが水を透過させない、フィルターが細菌、ウイルスをろ過します。
電子顕微鏡で拡大すると、左の髪の毛、直径73μm, 右に行くとカバー材料のスパンボンド径22μm, 更に下のメルトブローン不織布フィルターに行くと直径3μmになります。
メルトブローン不織布という名前はPP材料を溶かして(Melt)極細糸を吹き出す(Blow)からの由来です。顕微鏡写真でわかるように、直径3μmの糸を重ねて薄い布にして、その糸の1/30直径0.1μmのウイルスをろ過しようとします。0.075μm NaClエアロゾル微粒子を用いたろ過効率試験で、20層のガーゼと1層のメルトブローンフィルターの実験結果はほぼ同じです――>95%ではなく、28%ぐらいです(三密空間に行くなら普通のガーゼ、布マスクでちょっと難があり)。さて、95%の目標達成するために、何枚も重ねればいいじゃないか?理論上可能ですが、実際にそれほどの枚数重ねると、呼吸困難になり、ウイルス感染の前に酸欠で倒れます。
その問題を解決したのは1995年アメリカテネシー大学で研究していた蔡秉燚氏(Peter Tsai)、静電気が軽いものを吸着する特性を利用し、その研究チームはメルトブローン不織布をエレクトレット処理する方法を開発し、長期的に帯電させて、その静電気で95%以上の微粒子を吸着してろ過することを成功しました。
帯電されたマスクは永遠にその静電気を持てることができないので、少しずつ電荷が消えて行きますが、ある実験では5年保存された帯電マスクでもろ過基準値を達成しているそうです。
FAQ
- マスクがエレクトレット処理されているかどうかどうやってわかる?
簡単な方法があります。2mmぐらいの紙屑を用意し、マスクをその上に置いて、持ち上げたら紙屑を多く吸着するほうがよく エレクトレット 帯電処理されています。
- 1枚のマスクを何時間使えるか?
マスクを使う度、エレクトレット処理され帯電フィルターに埃、細菌、ウイルスが付着し、口からの水分とともにフィルターの静電吸着能力が減衰し、連続使用4~6時間後にそのろ過能力が基準値を下回ります。それで医療関係者が一日に何枚も使うわけです。
- 使い捨てマスクの再利用は可能か?
殆どのメーカーが推奨していないですが、ある実験によると、あまり汚れていない短時間使用のマスクなら60~80度のお湯に30分ほど浸からせてウイルスを殺し、自然に乾かせば静電気とろ過能力はそれほど変わりません。但し手で揉んで洗うと繊維が壊され、アルコール消毒や80度を超える湯銭も能力が低下します。